[言葉]野分
もしもし検定のNSGコーポレーションです☆
一昨日9月1日は『防災の日』でした。
大正12年(1923年)9月1日に発生した関東大震災を教訓としています。
そして、9月は台風が訪れることが沢山な頃です。
震災、台風、、、日本は9月に災害に見舞われることが多いのかもしれませんね。
ところで『野分』という言葉をお聞きになったことはございませんか。
『のわき』と読みます。台風の古い呼び名です。
立春から数えて210日(9月1日ごろ)、220日(9月11日ごろ)前後に吹く暴風のことです。
私が初めて『野分』という言葉を知ったのは、高校の古典の授業でした。
源氏物語に『野分』という帖があるのです。
先生が授業の中で教えてくださり、同じ意味の言葉なのに『台風』よりも『野分』のほうが
何とも風情があって、情緒的な響きを感じたことを今も覚えています。
枕草子にも、『野分』という言葉が出ています。高校時代に戻って少し原文です。
【原文】
野分のまたの日こそ、いみじうあはれにをかしけれ。
立蔀(たてじとみ)、透垣(すいがい)などのみだれたるに、前栽(せんざい)どもいと心くるしげなり。
おほきなる木どもも倒れ、枝など吹き折られたるが、萩、女郎花などのうへによころばひふせる、いと思はずなり。
格子の壺などに、木の葉をことさらにしたらんやうに、こまごまと吹き入れたるこそ、
荒かりつる風のしわざとはおぼえね。
【現代語訳】
台風の翌日は、普段と違い、しみじみとして趣き深く思える。
立蔀(たてじとみ)、透垣(すいがい)が破損している上に、庭の植え込みも、たいそう無残な姿である。
大きな木々も倒れ、枝などが吹き折られているのが、萩や女郎花の上などに横たわり、
被さっているのは全くの想定外の事態である。
格子の枡目などに、木の葉をわざとはめこんだように、細々と吹き入れてあるのは
荒々しかった風のしわざとは、思われない。
☆立蔀・・・『蔀』とは格子に板を張り付けたもの。ここでは外に立てた蔀のこと。
☆透垣・・・隙間がある垣根のこと。
ここ数年の台風や豪雨は甚大な被害が多く、風情を感じるどころではないので悲しいです。
でも、美しい日本独特の言葉はやっぱりいいなあと改めて感じました。
今日も笑顔☆
M.O